介護福祉士の登録者数が増える一方で、介護福祉士の従事者数は減少している。資格を取っていても実際には、現場で即戦力として反映されていない現状が、垣間見える。その原因に介護現場の労働問題、低賃金などが挙げられる。仕事としてのやりがいと、その行為に対しての賃金の溝がふかまっている。
しかし高齢者施設、デイケア施設だけが介護を行う場所ではない。それを反映するかのように、訪問介護の求人の需要が高まっている。そもそも訪問介護とは、訪問介護職員と呼ばれるケアワーカーやホームヘルパーが、要介護者や要支援者に認定された利用者の住まいを直接訪問し、食事や入浴、排泄介助時に体に触れる「身体介護」や、家事全般を補助する「生活援助」など、介護保険が適用される範囲内で行う介護のことをいう。
しかし訪問介護職員と、利用者やその家族の訪問介護に対する「捉え方」の違いが、思わぬ弊害をもたらしている。
訪問介護の介護範囲には様々な規定がある。例えば点滴の交換やたんの吸引作業などの「医療行為を行わない」ことや、利用者の食事は用意しても家族の分までは要求されても作らない、家族の分の洗濯や掃除はしないなど、細かく規定されいる。しかし利用者の家族側からしたら「ついでだからいいじゃないか」と、要求するケースが多く、訪問介護職員と利用者、利用者の家族との考え方や認識の違いが、信頼関係に溝をつくるケースも多々ある。
まずは訪問介護を始める前に利用者や家族に制度の詳細を認識してもらうと共に、納得出来る説明が出来ているかどうかなど、重視していかなければならない。